それでは、今回はKGI・KSF・KPIの基礎について解説をしていきます。
KGI・KSF・KPIの概要
まず、それぞれの言葉の定義を以下に記載します。
■KGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)
⇒最終的な目標を数値化した指標(定量)
■KSF(Key Success Factor/重要成功要因)
⇒事業成功への鍵を握る要素(プロセス)のこと(定性)
■KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)
⇒KGI達成に必要となる各プロセスの目標を数値化した指標。
上記のように書かれても、まぁなんのこっちゃだと思います(笑)
もう少し分かりやすいようにそれぞれの意味や関係性や図で示すと以下のようになります。
まずKGIはビジネス(マーケティング)を行っていく定量目標(ゴール)になります。
ビジネスの世界は一般的に売上・利益を出すことがメインの目標となるので、KGIには売上や利益率が設定されます。
そしてKPIはKSFを数値目標として落とし込んだものになります。
■例:飲食店
KGI:月間売上100万円以上。
KSF:平均客単価を上げること、来店数増やすこと。
KPI:平均客単価2000円以上、来店数500人以上
ここで
『KGI・KFS・KPIの意味はなんとなく分かったけど何のために設定するの?』
とあなたは疑問に思っているはずです。笑
なぜ、わざわざKGI・KSF・KPIを設定するかというと
「結果を出すために重点的にやるべきこと・管理すべきことを明確にするため」
とになります。
先ほどの例をもう一度みてみてください。
■例:飲食店
KGI:月間売上100万円。
KSF:平均客単価を上げる、来店数を増やす。
KPI:平均客単価2000円以上、来店数500人以上
上記の飲食店例の場合、目標は売上100万円、KFSは平均顧客単価・来店数、KPIは平均顧客単価2000円以上、来店数500人以上と設定されています。
ここで、仮にマーケティング活動を行い、KPIである平均顧客単価2000円、来店数500人が達成できた場合、単純計算で2000円×500=100万円となるのでKGIである目標は達成されていることになりますよね。
極論を言ってしまえば平均顧客単価を2000円以上・来店数を500人になるように活動すれば目標は達成されるので結果を出すためにやるべきことは、
①平均顧客単価を2000円以上にすること
②来店数を500人以上にすること
上記の2つだと言えます。
また、平均顧客単価が2000円以上、来店数が500人であることを常日頃から計測(管理)していれば目標は達成されるので、管理すべきことも明確化されていると言えます。
仮に平均顧客単価が2000円を切っている・来店数が500人を切っているのであれば、単価アップを狙ったセットメニューの開発をしたり、来店数が伸びるように広告を打ったりして改善していけば良いわけですね。
上記のようにKGI・KSF・KPIを設定することで重点的にやるべきこと・管理すべきことが明確になるので、自分の時間をどこに集中的に投資すれば最高の結果を得ることができるのかが分かるようになります。
もう一度まとめると
「ゴールを決め(KGIの設定)、ゴールにいくために重点的に行うべきこと・管理すべきことを明確にする(KSF・KPIの設定)」
それが、KGI・KFS・KPIを設定する目的だと思っていただければOKです。
■補足1
KGI・KSF・KPIを設定しないとマーケティング活動が泥沼化していくので注意が必要です。
例えば、飲食店を経営して売り上げが伸びていなかった場合、当然ながら売り上げを伸ばそうと何かをやるわけですが、KGI・KSF・KPIが分かっていないと、何をどれくらいやればいいのかさっぱり分からない状態となります。
で、多くの人が「まずは店の雰囲気が大切だ!従業員のAさんとBさんの仲が悪いからそこから改善しよう!」といった結果に直接反映されないことをやって大切な時間を浪費してしまいます。
ビジネスにおいて時間の浪費は「事業の死」に直結します。自分が使える時間は有限なので、限られた時間を有効活用するためにもKGI・KSF・KPIはしっかりと設定しましょう。
■補足2
どのような事業でも、1つのKGIに対してKSFは3~5個程度になることが多いので、なるべく5以下に絞って設定するように意識しましょう。
仮にKSFを10個、20個と多く設定してしまったら、本当はKSFでないものが混じっている可能性が高いのでもう一度見直していただくことをお勧めします。
KSFは多数の変数が混ざっている事業というものから、成功に直結する重要な変数を見つけ出し、そこに着目して事業をシンプルに管理できるようにするものだということを覚えておいてくださいね。(KSFを上手く設定できれば、それだけ管理しておけば事業が回るので時間に余裕ができます。笑)
また、1つのマーケティング活動につきKGIは1つとなるのが普通ですが、当然ながら複数立ててもOKですので複数立てた場合、それぞれに対してKSF/KPIを設定するようにしましょう。
KGI/KSF/KPIの概要は以上となります。
KGI/KSF/KPIを設定するタイミングについて
次に、KGI/KSF/KPIを設定するタイミングについてご説明していきます。
結論からいうと、KGI/KSF/KPIをする設定タイミングは環境や状況によって異なるため、必ずこのタイミングで決めなくてはいけないということはありません。
ただ、通常はマーケティングプロセスにおける(1)環境分析が終わった後に行う(2)目標設定にてKGI/KSF/KPIをまとめて設定し、設定した数値を達成できるように(3)STP分析で戦略構築を行っていきます。
つまり、設定順としては【KSF→KGI→KPI】というのが一般的です。
3C分析でKSF調査⇒SWOT分析で自分(自社)に最適なKSFを採用→毎月〇〇円くらい利益が狙えそうだからKGIは月間売上〇〇円→KGI達成には来店数●●人は必要だからKPIは来店数●●人といった感じですね。
【KSF→KGI→KPI】と設定していく具体的な例を以下に記載させていただきますのでぜひ参考にしてみてください。
■KSF設定までの過程例
環境分析の結果、自社の技術が紙おむつでも活躍できることが判明。
また、紙おむつの市場はまだまだ伸びていくと分かったので自社も参入することを決定。
3C分析結果から成功している企業は「低単価で販売」×「販売数が多い」という共通点があったので、KSFは【低単価で販売すること】×【販売数を増やすこと】だと仮定。
(KSFは1つと限らないので可能性があるものは全てピックアップしておきます)
自社工場で生産すればコストを落として利益も確保でき、また自社の流通経路やプロモーション手法を使えば販売量は増やすことができるので【低単価で販売すること】と【販売数を増やすこと】をKSFとして採用。
(KSFを設定しても実現できなければ意味がないので、自社の強み・弱みを考慮してKSFを採用していきます。また全く採用できない場合はそもそも参入すべきでない事業の可能性があるので注意が必要です)
■KGIの設定までの例
市場規模・成長率から毎月5000万円は利益がとれそうなのでKGIは毎月の利益を5000万に設定。
■KPI設定までの過程例
多売戦略をとるので1商品は全て1000円以下で設定(KPI)
またKGIを達成させるために1商品あたりの平均利益は300円以上に設定
販売数は月に17万個以上。(KPI)
ただ冒頭でもお伝えした通り、これはあくまでも一般的な話であり、実際のところは環境分析を終えた段階でKSF/KPIを設定するのは難しこともあります。
(KGIは売上などを設定すれば良いのでとりあえず適当に設定可能ですが・・)
そのため、(2)目標設定でとりあえず売上をKGIに設定し、STP分析・マーケティングミックスで目標達成までのプロセス(戦略・戦術)ができた時点でKSF・KPIを設定していくのもOKです。
つまり、事業の全体像がある程度できあがった段階で、その全体像の中から重要なプロセスをピックアップし、それらを仮のKSF/KPI(重要要素だと仮定/仮の数字を設定)に設定し、実行していくわけですね。
PDCAを回す中でKSF・KPIが適切かどうかを見極めていきます。ただ、KSFが分からないまま戦略・戦術を立てるのはやはり無謀な行為ではあるので、あくまでも事例がない革新的なビジネスをやる時だけなどにした方が良いでしょう。
ただ、どちらにしろ
『事業成功のカギとなるKSFを自分で設定するのって普通にむずくね?』
と思いますよね。
で、ここまで細かく説明しておいて言うのはあれですが、実は売上・利益率などをKGIにする場合、KSFは業種ごとにある程度決まっています。
例えば、サービス業のKSFは
【平均顧客単価を上げる】
【来店数を増やす】
【リピート率を上げる】
小売業のKSFは
【低単価で販売すること】
【販売数を増やすこと】
【在庫数をキープすること】
【在庫回転率を上げること】
といった感じですね。
つまり、業種ごとのKSFを予め知っていればそのビジネスを始める前の段階から
【何を重点的にやれば利益が出るのか】
【何を重点的に管理すれば事業が存続できるのか】
というのが分かるということになります。
こういった事実もあることから、
【ビジネスは知っているか・知らないかで成功できるかどうかが決まる】
と言われてたりもします。
上記の点以外にも知識があることでビジネスは有利に勧めることができます。
そして、今回あなたに取り組んでいただくコンテンツビジネスも売上(利益)をKGIとした場合、KSFは決まっています。
しかもコンテンツビジネスにおけるKSFは誰でも採用可能なので、基本的にはそのKSFを採用し、後はあなたのKGIに合わせてKPIを設定するだけで「何をどれくらいやれば良いのか」を明確にすることができます。
こちらはコンテンツビジネス実践編で解説していくので楽しみにしておいてくださいね。
ということで、今回の講義は以上となります。